W杯アジア最終予選のオマーン戦で縦横無尽の動きを見せた日本代表DF長友佑都(26=インテルミラノ)は15日、マスカット空港からドバイ経由でミラノへの移動途中、日本代表の現状に危機感を募らせた。

 長友が、13年を戦う日本の理想の未来像を語った。本田と同便の搭乗ゲートロビーの片隅で、1人物思いにふけているようだった。オマーン戦では、先制アシストから始まり、最後までスピードと運動量は落ちなかった。「それが僕の仕事ですから」。瞬時に笑顔になった。

 23人中最後にチームに合流し中2日、常人では考えられない。12年はW杯アジア最終予選の開幕とともに、代表としてフル回転してきた。

 だからこそ感じていることがある。「今のままではダメ。1つのポジションに最低2人はいて、監督が『どっちを使おうかな』って迷わせないと、チームとして強くなっていかない」。

 予選当初から、レギュラーメンバーは固定されてきた。主力として出場してきたのは、オマーン戦の先発11人に加え、負傷中の香川と内田だけ。現在の日本に、激しい定位置争いはないのが現実だ。

 長友自身も不動の左サイドバックであることに、危機感を抱いていた。「僕もいつどうなるか分からないですけど、ずっとレギュラーとして出られている。だけど、もっと脅かすような選手が出てきてほしい。いれば監督も試合で使うと思うし。これでは世界と戦うには、まったく足らない」。競争が成長を生み出すことは、ビッグクラブであるインテルミラノで実感していた。

 W杯は出るためではなく、戦うためのもの。日本代表の12年は終わった。だが13年は、もうすぐやってくる。日本があるべき姿は、はっきりと見えている。